2026年1月、トランプ大統領による一連の強い外交発言の中で、「グリーンランド」という名前が改めて話題に上がりました。(参照:Yahoo!ニュース記事リンク)
なぜ、北極圏にあるこの島が、国際政治の文脈で突然出てくるのか。
それはグリーンランドが、今あらためて戦略的に重要な位置にある場所だからです。
それまでも私は「地図でやたら大きい、北極の島」としてグリーンランドがどんなところか気になっていたので、
今回の件をきっかけに、そもそもどんな土地で、なぜ注目されるのかを調べてみることにしました。
グリーンランドは本当にあんなに大きい?【世界地図の錯覚】

世界地図を見ると、グリーンランドは異様に大きく見えます。グリーンランドはデンマークの一部ですが、本土のデンマークの約50倍の面積と、はるかに大きいです。
けれど実際の面積は、
- 約216万km²
- 日本の約5〜6倍
確かに大きいですが、アフリカ大陸と並ぶほどではありません。
この違和感の正体は、高緯度ほど拡大されて描かれる地図の性質でした。
なぜグリーンランドは地図で巨大に描かれるのか

一般的な世界地図(メルカトル図法)では、
北極圏に近い地域ほど引き伸ばされる
そのため、
- グリーンランド
- カナダ
- ロシア
は実際よりも大きく見えます。
一方で、
- アフリカ
- 南米
は実際より小さく見えます。
メインでよく使われるのは今でもメルカトル図法の地図ですが、地図にも色々な種類があり、現在は用途によって使用地図の見直しがされているようです。
グリーンランドの暮らしとは
日本から見るとあまりに遠く離れた未知の国である、グリーンランド。どんな生活をしているのか?見当もつかなかったので、調べてまとめました。
グリーンランドの海は凍っている?船は通れるの?

北極圏=一年中氷、というイメージがありますが、現実はもう少し複雑です。
- 冬〜春:ほぼ航海不可
- 夏(7〜9月):一部海域で航行可能
ただし、氷が溶けても
氷河から流れ出す氷山は一年中存在する
つまり、
「使える時期はあるが、安定した海ではない」
この不安定さこそが、近年の北極航路をめぐる関心につながっているようです。
グリーンランドには誰が住んでいる?民族と人口

グリーンランドの人口は約5.6万人。
その多くは、イヌイットの子孫(現地名:Kalaallit)で、人口の約9割を占めます。公用語はグリーンランド語(イヌイット語)ですが、多くの人がデンマーク語や英語も話します。
内陸は氷床に覆われているため、
- 人口はほぼ沿岸部に集中
- 最大都市は首都ヌーク(約2万人)
面積は巨大ですが総人口は少なく、文化的には先住民主体の社会が今も続いています。
グリーンランドの暮らしと移動手段

不便な場所にありますし、昔ながらの生活をしているのかな?と先入観をもっていましたが、実は生活は意外と現代的で北欧に近い感じなのだそう。
- スーパー、学校、病院がある
- ネット環境も整っている
住民の仕事は公務員・漁業・観光業が主で、一部に鉱業や研究関連の職の人がいるようです。
ただし、
- 都市同士を結ぶ道路は存在しない
移動は、
- ✈️ 飛行機(町と町の移動の中心)
- 🚢 船(夏のみ)
- 🐕 犬ぞり(北部では今も生活手段)
多くの他国と違い、車社会ではなく(車は町の中だけ)、空と海と雪が中心にある社会です。
極寒の地でどうやって防寒して暮らしているのか
冬は−20℃以下になることも多いグリーンランド。強風で気温以上の極寒です。(夏でも沿岸部で5~10℃だそうです)
それでも、
- 重ね着を前提にした服装
- 高断熱の住宅
- 無理をしない行動ルール
によって、室内は20℃前後に保たれ、驚くほど快適なのだとか。
寒さと戦うのではなく、「寒さを前提として暮らす」という文化が根付いているらしいです。
グリーンランドのエネルギー事情|電気と燃料はどうしている?
- 灯油・燃料:ほぼ輸入(デンマーク経由で夏にまとめて船輸送)
- 電力:水力発電+ディーゼル発電
氷河の雪解け水を使った水力発電は、グリーンランドにとって非常に重要な電源です。
一方で、デンマークからの燃料供給が止まれば日常生活も止まってしまうため、極寒のグリーンランドはデンマークとの関係を急に切ることはできない、という面もあるそうです。
なぜグリーンランドはデンマークなのか?【意外と知られていない歴史的つながり】

「そもそも、なんでグリーンランドがデンマークなのか?」という疑問を抱くのは私だけではないはず。
地理的には北米に近く、文化的にもイヌイット社会。今のニュースだけ見ると、なぜ北欧の小国デンマークなのか、少し不思議に見えます。
調べてみると、この関係は、ヨーロッパ全体の歴史に深く関係していました。
もともとグリーンランドは、何千年も前からイヌイットが暮らす土地でした。
10世紀(日本でいうと平安時代中期)ごろ、グリーンランドに北欧のヴァイキングが入植し、その後ノルウェー王国の勢力圏に入ります。
その後ノルウェーがデンマークと同君連合を組んだことで、グリーンランドも北欧王権の管理下に組み込まれました。
19世紀、ナポレオン戦争後の再編でノルウェー本土はスウェーデンへ渡りましたが、グリーンランドはデンマーク側に残りました。
こうしてグリーンランド=デンマークという関係が固定されたのだそうです。
20世紀には植民地となり、1979年に自治政府が設立。2009年には自治権がさらに拡大されました。
現在は、
- 内政:グリーンランド自治政府
- 外交・防衛:デンマーク
という形を取っています。
完全な独立でも、単なる属領でもない。
デンマーク本土とグリーンランドの間には、慎重な共存関係が成り立っているのです。
なぜ今、グリーンランドが注目されているのか

ここまで見てきたように、グリーンランドが注目される理由は「島が大きいから」でも「資源があるから」だけでもありません。
理由はいくつか重なっています。
まずひとつは、北極圏そのものの意味が、変わりつつあることです。
温暖化の影響で、これまで一年中氷に閉ざされていた海域が、季節によっては航行可能になりつつある現代。
北極は「通れない場所」から「条件付きで通れる場所」へ変わり始めているのです。
その中で、グリーンランドは
北米・ヨーロッパ・北極海の交差点に位置する、非常に見通しのいい場所です。
もうひとつは、軍事や安全保障の観点です。
すでにグリーンランドには大国による監視・防衛の拠点が置かれており、
この地域が完全に「静かな辺境」ではなくなっていることは、以前から共有されてきた事実でもあります。
そして三つ目は、この島がとても小さな社会であることです。
人口はわずか約5.6万人。自分たちだけで巨大な国際圧力に対抗するのは難しいのは明白です。
だからこそ、周囲の大国にとっては「放っておけない場所」になりやすいのです。
トランプ大統領の発言は、こうした状況の中で「ここは重要だ」というメッセージを彼らしい強い言葉で示したもの、と見ることもできます。
現在のグリーンランドの立ち位置

今のグリーンランドは、
- デンマークの自治領
- 独立の権利は公式に認められている
- ただし経済・エネルギー面では支援に依存
という立場にあります。
注目される理由は、
- 北極航路の将来性
- 軍事・監視拠点としての位置
- 大国(ロシア・中国・アメリカ)の思惑が交差する場所
ただし重要なのは、
住民の多くが大国への併合を望んでいないことです。大国の一部になるより、自分たちのペースで自然と向き合いながら自治を深めたいのかもしれません。
まとめ|地図の端にあるけれど、世界の動きとつながっている場所
トランプ大統領の発言をきっかけに調べ始めたグリーンランドは、
- 地図では巨大
- 国際政治では重要
- でも暮らしはとても静か
という、スケールの違うものが同時に存在する場所でした。
日本からはるか遠く離れた国ですが、グリーンランドの「人間は自然の一部」という価値観が日本古来の価値観と似ていて、親近感を感じました。
いつかグリーンランド人の方と会って、話してみたいですし、一生のうちに一度現地を見てみたいなと思いました。
