野生のシカが生息している奈良公園。観光スポットとして人気ですが犬と旅行を計画している方にとっては「奈良公園内を犬と散歩することはできるのか」という点が気になりますよね。
この記事では小型犬2頭を飼育中で奈良公園近くに住む地元民の私が、奈良公園で犬がケガせずに楽しんで帰宅するための注意点とマナーを失敗談を含めてお伝えします。
犬連れ観光したい!奈良公園では犬の散歩ができる?
近鉄奈良駅からほど近い奈良公園は、古都奈良の文化財として世界遺産に指定されている東大寺・興福寺・春日大社という大寺院がある古からの一大観光地。
とても敷地が広いため柵で区切られてもおらず、自然が多く歩いて散歩がてら観光できる公園で犬も喜びそうな場所です。
最近は観光地でなくとも犬連れ禁止の公園が多いですし、世界遺産がある場所。そもそも公園内で犬の散歩ができるのか気になりますよね。
結論からいうと、
奈良公園は犬連れOK!奈良公園内では犬の散歩ができます。
散歩していただいても構いません。ただし、公園内には多くの野生の鹿がおりますので、絶対に放し飼いにはせず、必ずリードをつけましょう。
奈良公園公式HP
と奈良公園公式ホームページにもしっかりと記載がありました。
ただ、ご存知の通り野生のシカの生息地でもある奈良公園。公園内のいたるところでシカが暮らしています。野生なのでもちろん自由気ままに歩いたり走ったり…。フンもたくさんです。
犬がシカに襲われたり、逆に犬がシカに襲い掛かったりする可能性もあります。
実際に事故も多いようで、行政が最近奈良公園での犬散歩についての注意喚起(奈良公園内はなるべく犬の散歩をしないでください)を掲示しています。(汗)
奈良公園内では鹿は神を乗せてやってきた聖獣としてあがめられているため大切にされてきました。
奈良公園は文化的観光地という人の領域ではありますが、人に守られた野生動物であるシカの領域でもある難しい一面がある場所です。
そのため
そもそも野生動物の生息域に犬連れで来るなんて馬鹿げている
という声が多いのも事実。
観光客だけではもちろんないですが犬とシカの関係性を知らずルールやマナーを守らずにシカに近づき犬散歩する人も中にはいて、奈良公園内の道路沿い歩道で犬を連れて歩いているだけでも白い目で見られることもあります。
奈良公園もそのうち犬の散歩禁止になってしまう可能性は高いかもしれません。
この記事では犬VSシカによる事故を未然に防ぐためにも、犬連れでも気持ちよく奈良公園内を観光するための注意点とマナーを簡単にお伝えしていきます。
犬連れの楽しい奈良観光が悲しい思い出にならないように、旅行前に散歩の注意点をチェックしていってくださいね。
奈良公園を犬と散歩する際の注意点・マナー
奈良公園内(主に東大寺~興福寺~春日大社付近)を犬と散歩するのにあたって守りたいのは以下の点。※この記事での「奈良公園」にはならまちなど市街地は含みません
全て奈良公園内を実際に何度も犬と散歩している我が家が気を付けていることです。下記動画とも共通しているので、読むのが大変な方は動画を見てみてくださいね。
(ここでは一般的な犬の散歩マナーは割愛しますが、普段の散歩と同じく排泄物の処理などはきちんとお願いします!)
- リードは必ず着用・短く持つ、絶対に離さない
- 不用意に犬をシカに近づけない(できるだけ遠巻きに)
- シカのそばで立ち止まらない
- 特にシカが多い場所ではカート・キャリーを使うか抱っこを徹底
- ダニの薬は必ず定期摂取してから行く
奈良公園内を散歩するにあたり気を付ける点は、何より先にまず野生のシカ。シカにとって犬は天敵なので、存在を確認しただけで基本的に警戒態勢に入ります。
逆に犬は犬で、狩猟本能的にシカ=獲物と思っている節があり、犬によってはシカを追いかけようとしたり吠えたりすることが。
どんなに小型犬でも「シカに勝てる」と思っている子も中にはいるので(我が家のトイプードルも1匹はなぜかそう思っていて好戦的です)、まずは近づかせないように注意が必要です。
子犬の場合は特に注意!
今のところリードで散歩は認められていますが、あくまでシカの生息地にお邪魔させてもらっているという謙虚な気持ちで散歩しましょう。
シカは犬が怖いので、犬が近づいてくると襲うか逃げるかしますし、1匹が急に逃げると周囲のシカたちもつられて集団で急に走り逃げ出す習性があります。
急に走り出すシカと人が衝突する危険性もありますし、道路にシカが飛び出し交通事故にあう危険性もあります。親子のシカなら子を守るために犬を攻撃してくる場合も…。
犬とシカの相性は最悪!
まずはそれを念頭に置いておいて行動してください。
奈良といえばシカですし、可愛いのでつい立ち止まって写真を撮ったり鹿せんべいをあげたりしたくなりますが、くれぐれも犬とシカを近づけて一緒に写真を撮ろうとしたりしないように…。
一見仲良さげに見えても天敵同士仲良くなることはまずないので、どちらかが襲い掛かる可能性大です。シカの前で立ち止まらないようにしてください。
特にシカが多い場所や道が狭い場所ではカートやキャリーに入れる、もしくは抱っこを徹底してください!
それ以外の広めの場所は歩かせても大丈夫ですが、シカが少ない場所で歩かせる場合でもシカに犬が近づかないように、シカの射程距離内に入らないように意識してリードを短くしっかりと持ちましょう。
犬がシカを見て興奮し急に走り出すこともあるので、リードを手首に何周か巻いて握り込んでおくと安心です。
また広大な奈良公園には社寺の他、たくさんの園地(原っぱ)があります。(飛火野園地・春日野園地・浮雲園地・登大路園地など)
犬とボールなどして走らせたら気持ちよさそうだな~と思いますが、園地にもたくさんのシカが生息しているので、絶対にリードを外さないようにしてくださいね。(フンもいっぱいです)
ダニにも注意を
何度も言いますが、奈良公園のシカは野生動物です。自然の中で暮らしているので、当然ダニやノミなどいわゆる害虫がついている可能性は高いです。
それもあるので、観光できていて心配な場合東大寺など奈良公園内でもシカの多い場所ではできるだけ犬連れでは歩かせない方が良いでしょう。
奈良公園内はいたるところにシカのフンが落ちていて犬がフンを食べてしまう危険性もあります。
実際動物病院でも、
奈良公園をよく犬散歩するなら一応9種か11種かの混合ワクチンにした方が安心だよ
と言われそうしています。
観光で少し来るだけならそこまではしなくても良いでしょうが、定期摂取のノミダニの薬は旅行前に忘れずに摂取させておくようにしてください。
また、奈良公園散歩後には愛犬のブラッシングや身体のシート拭きをお忘れなく!
春秋の出産時期は特にシカに注意!
奈良公園内の注意書き看板にも記載がありますが、特にシカは、春と秋の出産子育て発情時期には気が立っています。春秋に奈良公園を訪れる際は特に注意が必要。
この時期は犬だけではなく人間の子供にも襲い掛かる(というか脅してくる)ことがあり本当に怖いです。
特に小型犬の場合は何もせずにただ歩いているだけでもシカが脅してくることがあります。遠巻きにするのはもちろん、なるべくリードを短くしっかり持ち、立ち止まらないことが大切。
中でも子連れのシカは中でも最強に気が立っていることが多いので、小鹿が可愛いからといってつい犬連れで近づくことのないように気を付けてください。
動物病院にワクチン接種に訪れた時、実際に観光で訪れ奈良公園を歩いていてシカに襲われケガをした小型犬が急患で入ってきたことがありました。
相手は野生動物ですし、何かあってもケガの保証などはありません。うちの子は大丈夫!と過信せずに、上記の注意事項を守ってお散歩してくださいね。
奈良公園内・犬連れの注意スポットはここ!
奈良公園内でも特にシカが密集している場所が犬の散歩での注意スポットとなります。
具体的にはシカと人の多い東大寺・興福寺境内・猿沢池周辺・春日大社参道あたり。私が実際に散歩していて中でも危険を感じる場所は、ずばり東大寺です。
しかし東大寺大仏殿内は抱っこかキャリーに入っていれば犬も一緒に参拝できる珍しい場所なので、一緒に奈良観光へ来たならばマナーを守りつつ是非一緒に入堂してご利益をいただいてきたいところ。
東大寺の中でも危険なのは、東大寺大仏殿へと続く東大寺南大門前参道です。
ここは奈良公園内でも一番のにぎわいを見せる場所で、石畳の参道沿いには土産店や屋台が多数あります。もちろん、鹿せんべいの販売も。
シカにとってみれば、人が多いので何か食べ物にありつける確率も高い場所。
(私は昔参道の屋台でソフトクリームを買ったのですが、代金を店員さんに渡している隙にシカが反対の手で持っていたソフトクリームを食べようとしていました汗)
他の場所と比べてシカの数が多いですし、競争率の高い場所だからか百戦錬磨のような強そうなシカもいます。
人もシカも密集している東大寺南大門前参道は、犬を歩かせるのは全くおすすめしません。
歩かせている人も中にはいますが、ここは通るなら必ず抱っこかキャリーで!フンも多いです。キャリーならお互い無駄に興奮させないためにもフタを閉じると良いです。
我が家は東大寺方面で犬散歩することもありますが、犬連れのときはいつもここは必ず避けて通ります。
どうしても歩いて大仏殿まで行きたいのであれば、参道横に広がる原っぱ、浮雲園地~春日野園地内の道を通り迂回して向かいましょう。
こちらの方は人も少なく広々としているのでまだ安心して歩けます。
東大寺内では参道が一番危険スポットですが、大仏殿前や二月堂へ行くまでの道などにもシカはいます。
我が家の犬も二月堂へ行く途中の裏道にいたシカに脅されたことがあります。
(このときは夫がシカの写真を撮ろうとして犬のリードを持ったまま近づいたためで、こちらが全面的に悪いです。犬はシカが怖いので後ずさりしていましたが、シカは前脚を上げ犬に攻撃的にしてきました)
奈良公園市街地に集まるシカは基本猛者ばかり。「ここのシカなら大丈夫かな?」と過信せずに上記の注意事項を守ってくださいね。
奈良公園近くには安心して歩かせられる大きな公園もある
ちなみに奈良公園の近くで犬連れでも楽しめるスポットは平城宮跡・鴻ノ池運動公園(こうのいけ・ロート奈良鴻ノ池パーク)。どちらも車なら奈良公園からすぐに行けます。
こちらはシカがいないorかなり少ないので、地元で犬を飼育している方もよく散歩をしています。鴻池の公園の前にはテラス席ワンちゃん連れOKのスタバもありますよ。
平城宮跡は施設内には入れませんが、きれいに整備された旧跡跡をのびのび歩けます。近くにはドッグカフェも。
どちらも敷地が広く、リードは必須ですがワンちゃんを安心して歩かせられます。観光中奈良公園内でシカに怯えてワンちゃんが疲れてしまったら、足をのばしてみてくださいね。
まとめ
野生動物のシカには犬を決して近づけずリードを短くしっかり持つ、人混みが多くシカも多い場所では歩かせないなどのマナーを守れば、奈良公園周辺は犬連れでも楽しめる数少ない観光スポット。
ただ最近は「奈良公園の犬散歩についてはシカのためにも禁止すべき」という声もあがっていて近所で犬を飼育している身としては風当りが強く肩身が狭いです。(汗)
それも分かるのですが、犬連れを否定されるのは、犬を飼育中の方にとっては辛いことですし悔しいですよね。
観光客に関わらず訪れる犬連れみんなが犬とシカの関係性を理解してマナーを守れるようになれば、これからも奈良は動物にも人にも優しい観光地として栄えていくのではないかと思っています。
「これだから犬は」と言われないように、飼い主の私たちがその土地土地ならではの注意点を意識し行動して、犬連れにやさしい社会を作っていきたいですね。