日本全国に温泉や銭湯はたくさんありますが、お寺で入浴できるというところは少ないのではないでしょうか。
奈良県奈良市の住宅街近くにある古刹・霊山寺(りょうせんじ)には「薬師湯殿」という薬湯があり日帰り入浴が可能です。先日こちらの秘湯に行ってきたので、どんなお湯だったのかお伝えします。
【奈良】霊山寺(りょうせんじ)の薬師湯について
奈良県奈良市にある霊山寺(りょうせんじ)は、736年・天平時代に創建された由緒あるお寺ですが、なぜここで薬湯に入れるようになったのか、気になりますよね。
その秘密はお寺の誕生縁起にありました。奈良時代の昔、壬申の乱で右大臣を辞した小野妹子の息子である小野富人(後の鼻高仙人)が684年に熊野本宮で薬師如来を感得。
奈良・富美山で薬草を栽培・薬草湯屋を立て薬師三尊を祀り多くの人の万病を治癒したのが、この薬師湯のそもそもの起源です。
それから約50年後、聖武天皇の皇女(後の孝謙天皇)がノイローゼにかかった際夢枕に鼻高仙人が立ち、
薬師湯屋の薬師様にお祈りすれば治る
とおっしゃられ行基菩薩が代参したところ、なんと皇女が完治。
そのお礼に聖武天皇が736年に勅命で大堂を建立したのが、この霊山寺なのです。そのため霊山寺の薬湯風呂には聖武天皇や光明皇后も入湯されたことがあるのだとか!
薬湯風呂はそれから約1300年間、里人に親しまれて大切にされてきました。すごい歴史ですよね!
現在の薬師湯殿は、昭和57年に建物を改新築したもので、なかなかキレイ。天然温泉ではないですが、当帰(とうき)やセンキュウなど8種類の天然成分のみを使った正統派の薬湯風呂です。
日帰り入浴可能で、冷え性・肩こり・疲労回復などに効果あり!
霊山寺薬師湯・基本情報
- 入湯料金…大人(中学生~)600円・小学生300円・幼児(3歳~)100円
- 営業時間…10:30~19:00(営業終了)
- 定休日…毎週水曜日
温泉成分…日局トウキ・日局センキュウ・日局オウバク・日局ソウジュツ・日局サンシン・日局チンビ・日局ジュンヤク・日局バンショウ
効能…冷え性・神経痛・腰痛・リウマチ・肩こり・うちみくじき、しもやけ、ひびあかぎれ、痔、あせも、疲労回復
実際に行ってみた!薬師湯殿・体験記
2024年2月、実際に霊山寺の薬師湯殿を訪れ入湯してきたので(夫と息子が)、どんなお風呂だったのか体験談としてお伝えします。
霊山寺へ到着、入口は
近鉄富雄駅からバスに乗って約7分。霊山寺は富雄駅から歩いても行けそうな距離にあります。
霊山寺に到着すると鳥居の向かって右前の建物に受付あり、ここで
入山(本殿参拝)ですかかお風呂だけの利用ですか
と聞かれます。(それによって支払い料金が変化)
今回は時間がなかったので薬師湯殿だけの利用にしましたが、また今度ゆっくりとご本殿も参拝したいところ…。
入湯料金を支払うと、ロッカーのカギをもらいます。薬師湯殿荷物入れで該当する番号のロッカーのカギを開けて使用、帰りにまたロッカーを閉めて受付で返却するというシステムです。珍しい!
薬師湯殿にはなんと、ポイントカードあり。それだけよく利用する地元の常連客も多いということでしょう。1300年間変わらず里人に愛されているのは、さすがですね!
はじめてといったら無料で発行してくれました。なんとスタンプ10個で1回入浴無料。これはつい、また来たくなります!
受付終了後、大鳥居をくぐって石畳の道をまっすぐ進みます。石畳の道の左手には橋が2つありますが、1つ目の橋は食事処へ続く橋なのでスルー。
2つ目の橋を渡ったところに薬師湯殿があります。
脱衣場は広くてきれい
大鳥居から2分程度で薬師湯殿入口に到着!
建物に入ると、男湯女湯が分かれているので靴を脱いで進みます。上を見上げるとなぜか立派なシャンデリアのような照明が!きれいでした。
男湯は岩風呂でしたが女湯はタイル湯と書いてあったので、入れ替えがあるのかもしれませんね。
脱衣場は、広くて清潔感がありとてもきれい!洗面台もたくさんあって無料ドライヤーも完備で快適です。しかもハイパワー!
400円16分のマッサージチェアも1つありました。おむつ捨て専用ゴミ箱もあり赤ちゃん連れにもやさしいです。
脱衣場にタオルはありませんでしたが、受付で「タオルありますか」と聞かれたのでもしかしたら貸し出しもしているのかもしれません。(我が家は持参していました)
浴室内の様子。どんなお湯?
洗い場には6つでリンスインシャンプー・ボディソープが完備。もちろんお湯もシャワーで快適に出ます。霊山寺は宿泊もできるので、宿泊客のためにこれらが備え付けられているようです。
ちなみに宿泊の場合は日帰り客がいないですし薬師湯ほぼ貸し切り状態になることもあるようですよ。気持ちよさそうですね!
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浴槽はきれいな岩風呂が1つのみですが7人ぐらいは入れそうで広々。すぐ後ろが山のようになっていて見えるのは木々なので見晴らしはよくありませんが、窓が大きく解放感があります。
サウナ入り口には水飲み場もありました。お湯の温度はそんなに熱くなくゆっくり浸かれる感じ。※あくまで個人の感想です。薬草の香りが気持ちを落ち着かせ、おだやかにリラックスさせてくれます。
浴槽は大人には深くはなくちょうどよいですが、身長120センチぐらいの子供が座ったらお鼻まで浸かりそうでした。(笑)
ちなみに訪れたとき(昼ぐらい)はお客さんは地元の方が多い感じでした。
お寺の中のお風呂というのが特別感もありご利益がありそうな気がしましたし、駅から少し離れた場所にあり小旅行気分も味わえて満足、温泉ではなくとも充分堪能させていただきました。
一つだけ口惜しいのは、サウナは休止中という点。理由は分かりませんが残念です…。再開を熱く希望!
おみやげに薬師湯の入浴剤も購入可能!
大鳥居前の受付では、薬湯と同じ成分の天真という入浴剤が770円で販売されています。
中身は30gが2袋入り。自宅でもオリジナル配合の薬師湯の薬湯に浸かれるというのは、ありがたみがありますね!おみやげに最適。
私は温泉には行けなかったのですが、おみやげにこちらを買ってきてもらえたので自宅で薬師湯に入ることができて満足でした。
お土産は、入浴剤の他にタオルも販売(多分ロゴ入り)がありましたよ。
薬膳カフェ花美津姫はなみずき(千人亭)で食事も可能
鳥居をくぐって一つ目の橋を渡ったところには、ランチ営業もしている薬膳カフェ花美津姫(はなみずき)が。少し割高感はありましたが、美味しそう薬膳メニューがずらり。
営業時間は
ランチ11:00~14:00・喫茶11:00~16:00
この日の看板には
- ランチA・美肌御膳(薬膳スープメイン)
- ランチB・低糖質ダイエット御膳(きのこ餡かけそば&温野菜)
- ランチC・爽健御膳(牛肉と細ゴボウ)
- (各1815円)
とありました。
薬湯に浸かって身を清めた後に身体の中も浄化できそうです…。
ちょうど帰りのバスの時間になってしまい立ち寄れませんでしたが、また今度訪れた際はこちらで昼食をとってみたいなと思いました。
奈良・霊山寺へのアクセス
住所…〒631-0052 奈良県奈良市中町3879
TEL:0742-45-0081(代)
電車・バスの場合
近鉄奈良線「富雄」駅より奈良交通バス、「若草台(系統番号50番)」行きに乗車→「霊山寺」にて下車。(バスは1時間に1本程度・乗車時間片道約7分)
車の場合
奈良方面からの場合…阪奈道路「阪奈三碓」出入口より県道7号線を南へ約5分。『霊山寺前』交差点を右折してすぐ。
大阪方面からの場合…第二阪奈有料道路「中町ランプ」より県道7号線を北へ約5分。『霊山寺前』交差点を左折してすぐ。
名古屋方面からの場合…東名阪自動車道→名阪国道→西名阪自動車道「大和まほろばスマートインターチェンジ」から一般道へ。大和中央道を北上し、富雄川沿いに出て『霊山寺』交差点を左折。
まとめ
お寺の中にあるということで秘湯感もあり、気持ち良い上にご利益も頂戴できそうな霊山寺・薬師湯。薬草の香りが心地よく、とてもリラックスできる良い薬湯でした!
霊山寺は広大なバラ園も人気なので、薬師湯と共に是非訪れて悠久の時を過ごしリフレッシュしてくださいね。