奈良市長選挙2025に立候補した現職・仲川げん氏の政策や政治姿勢を、市民目線でわかりやすく紹介します。
16年間にわたる市政改革を「継続と挑戦」でさらに前進させようとするそのビジョンと、実績の数々とは?
【市長選立候補】仲川げん氏:プロフィールとこれまでの活動

🧾 仲川 げん(なかがわ げん)
年齢:49歳(1976年3月生まれ)
出身:奈良市
現職:奈良市長(4期目)
在任期間:2009年〜現在
🎓 学歴・職歴
- 北大和(現奈良北)高校・立命館大学卒業
- 卒業後、帝国石油株式会社(現 株式会社INPEX)勤務
- 奈良NPOセンター勤務
- 平成21年7月、当時全国で2番目に若い33歳で奈良市長に初当選。
- 30代で奈良市長選に初出馬し初当選(当時全国最年少市長)
- 現在は市長4期目を務める
🏛️ 市長としての取り組み
2009年の就任以来、市政改革・財政再建・公務職場改革を軸に、
不祥事の続いた旧体制からの転換を図り、透明性ある行政を掲げてきた。
持ち前のリーダーシップで新斎苑の開設、法人税収増に向けた起業支援、文化施策の拡充など“攻めの改革”も推進。
2011年、「日本を立て直す100人」(AERA)に選出される。
👨👩👧👦 家庭・人物像
奈良生まれ奈良育ち。3児の父として育児・教育分野にも力を注ぎ、子育て支援や中学校給食の無償化などを実現。子どもを中心としたまちづくりを掲げる。
🤝 所属・役職歴
- 全国市長会 副会長(2024年〜)
- 中核市市長会 会長(2015〜2016年)
- 奈良県市長会 会長(2019〜2020年)
🗣️ 主な訴えとスタンス
現職4期目の仲川げん氏は、「改革の継続」を掲げ、16年間で取り組んできた市政改革や財政健全化、子育て支援の実績を強調しています。とくに市債1,000億円削減・基金100億円積立といった数字での成果や、企業誘致・起業支援による税収確保を「攻めの市政運営」と位置づけ、引き続き成長路線を維持する構えです。
また、子育て支援の強化(保育料・給食費の無償化)や健康寿命延伸を意識したまちづくりを中心に、「すべての世代にやさしい奈良市」を掲げ、生活の質の向上(QOL)も訴えています。
選挙公報では、「大型ビジョン」「JR新駅の早期開業」など長期的視野の施策も掲げており、都市経営的な視点からの政策継続をアピールしています。
一方で、新斎苑の土地取得問題やZEB庁舎(市役所省エネ化改修)の専決契約処理、公民館の突然の廃止方針などについては「トップダウン的な決定」との批判もあり、市民や議会との合意形成に課題があったとの声も根強く残っています。
Xでの発信でも「難題は先送りせず、前に進める」と語るように、市長としてスピード感のある決断を優先する政治姿勢がうかがえます。
今後の課題として、
- これまでの実績と手腕に信頼を寄せる市民
- 「説明不足」「市民不在」と感じる市民
との間にある評価の分断をどう埋めていくかが焦点になりそうです。
🚧 西大寺駅周辺整備:仲川げん氏のスタンス|「現実的な渋滞対策」重視
西大寺駅周辺の踏切渋滞の問題について、仲川氏は高架化に対して慎重な立場を取っています。
約1,000億円・30年規模の整備案に対し、「未来に重すぎる負担を残す」として、
約7億円で実現可能な道路改良による渋滞緩和を優先するべきと主張しています。
- 🔹 県・市・近鉄の三者協議会に2021年以降、仲川市長「不参加」で議論中断
- 🔹 計画の費用割合負担は奈良市と規模が3倍以上の奈良県が同じ1:1で、それぞれ「300億円以上」と見込まれ、財政的な枠組みに納得せず協議から距離を置く
- 🔹 「小さな一歩から」現実的に取り組むという姿勢
具体的には
- 現在整備中の「大和中央道」など大きな市道整備で渋滞は緩和でき、コストも抑えられ早期実現もできて現実的である
- まずは予算も少なくできるところからはじめ効果を見つつ、長期スパンで高架化もじっくり話し合いハイブリッドで進めていきたい
という考えです。参考:仲川げん公式YouTube
🤝 山本かずひろ氏との違いは?
山本氏は「踏切解消のためには連携が不可欠」として、
奈良県・近鉄との協議体制を再構築し、高架化も含めた長期的整備の合意形成を重視。
仲川氏が即効性・費用対効果を重視しているのに対し、山本氏は信頼関係の再構築と長期解決を重視するアプローチです。
ちなみに奈良県側も山本氏と同じ合同形成を望むスタンスで、
- 市道整備では混雑解消に限界があり効果は限定的
- 西宮など同規模の駅でも高架化が完了しており、妥当な水準である
- 高架化で踏切をなくさないと根本解決できない
という考えです。
🚮 クリーンセンター問題へのスタンス
🔸 仲川げん氏の考え方
- ▶ 新クリーンセンターは「先送りできない重要課題」と明言。
- ▶ 老朽化した処理施設の代替として、七条地区への建設方針を答申に基づき推進。
- ▶ 「すべての合意を得るのは難しいが、必要な説明と手続きは行ってきた」と主張。
- ▶ 「難題こそ逃げずに結論を出すのが市長の責任」と繰り返し発信。
🔸 議会・市民の反応
- ⚠️ 「説明不足・住民合意の軽視」との批判が複数議員・地域住民からあがる。
- ⚠️ 議会では複数回にわたって差し戻しが起き、慎重な対応を求める動きも。
⚠️奈良市の新しいゴミ処理施設(クリーンセンター)を「七条地区」に建てる計画について、市議会では「反対の請願」が出され、6月の定例会で採択されました(賛成多数)。
これは、正式な建設計画のストップではありませんが、
「住民の反対が強いこと」を議会としても認めた形になります。
一方で、再検討や丁寧な説明を求める別の請願は否決されており、
「反対か賛成か」という二極化した議論になりがちな現状がうかがえます。
- 市側の方針は「七条地区で進めたい」
- 議会は「七条地区は問題あり」と住民の声を支持
→ 場所は「最終決定されていないが、七条で進むかどうか綱引き状態」です。
📌 総括(市民が注目すべき点)
仲川氏は「結論を出す市長の責任」を果たす姿勢を強調していますが、その進め方や住民参加の在り方に対して評価が分かれる状況です。
▶ 行政判断の正しさ
▶ プロセスの透明性と対話の丁寧さ
この2点を軸に、今後の市政運営が問われる場面でもあります。
注目される政策・主張(選挙公報より)
今回の選挙で、仲川氏は「改革続行」「#全員市長」奈良から始める、これからの民主主義をスローガンに掲げています。
🔧 財政再建と経済の自立|仲川市政の10の重点項目
- 市債1,000億円削減・貯金100億円積立で健全財政を確立
- 過去最大級の物価高対策を迅速に実施
- 企業誘致と起業支援でベッドタウン経済から脱却
- 子育て世代ニーズに対応した「子育てブランド市」の実現
🏥 健康寿命と防災のまちへ
- 未病・介護予防対策で健康寿命の延伸とQOL向上
- 駅や公共施設のバリアフリー化
- 鴻ノ池を広域防災拠点として整備
🚉 都市開発と未来の交通インフラ
- 中山間部を活性化する東部振興計画を策定
- ロートフィールドに大型ビジョン設置など情報発信の強化
- 八条・大安寺のJR新駅早期開業を目指す
🏗️ 環境と行政改革
- 先延ばしされている新クリーンセンターの実現
財政再建・子育て支援・防災・経済振興など幅広い政策を具体的に示し公約としています。
現職としての安定感と実行力を武器に、継続による成長をアピールする構成となっています。
⚖️ 政治姿勢と評価の分かれる点
⚖️ 政治姿勢と評価の分かれる点
仲川氏は、「改革型の経営的市政」を掲げて16年間にわたるトップダウン型のリーダーシップを貫いてきました。
市債1,000億円の圧縮や企業誘致など、市政改革と財政健全化の成果を挙げつつ、明確な信念のもとでの「スピード感を持った決断」が持ち味です。
一方で、「協議よりも独自判断が優先される傾向がある」との指摘もあり、奈良県や周辺自治体との連携よりも、市独自の方針を優先する場面が目立つという見方もあります。
また、公民館の廃止方針やZEB庁舎の専決契約などをめぐっては、「説明不足」「住民合意の軽視」といった批判も根強く、一部では“強引な進め方”との印象も持たれています。
改革実行力を評価する声も多い一方で、現場や市民の感情に寄り添う繊細さに欠ける、協調性に欠けるとの見方もあり、「市民の声をどう反映するか」が今後の課題といえるでしょう。
一部報道では、市職員へのパワハラ的言動があったとの指摘もなされており、市長のリーダーシップのあり方が問われる場面もありました。
詳しい経緯や報道については、以下の外部リンクをご参照ください。
▶ NHK奈良|仲川市長の発言に市職員が「パワハラ」と主張した問題
それを自覚してか、今回の出馬にあたっては「#全員市長」というコンセプトを掲げ、AIなどのテクノロジーを活用したオンライン対話や意見収集を通じて、市民の声を政策立案に生かす新たな仕組みづくりを打ち出しました。
この構想は、「一部の声の大きな人に左右されず、普段声を上げにくい市民の意見も可視化して政策に反映する」ことを目指すものですが、実際にどこまで仕組みとして機能するのかは未知数であり、注目が集まっています。
トップダウン型の迅速な改革を支持する人にとっては魅力的に映る一方、“声を聞く”というプロセスが本当に丁寧に行われるか、という点に対して慎重な目を向ける市民も少なくありません。
加えて、「多選への慎重姿勢」を掲げてきた過去がある中での5選出馬に対し、「約束を破ったのでは」と疑問を持つ市民も一定数存在しますが、それでも「実績ある市長に引き続き任せたい」とする支持層も根強いのが実情です。
🔍 こんな人に注目されそう
- 実績ある現職に引き続き任せたいと考える安定志向の層
- 大型事業や都市基盤整備を推進し成長戦略を評価する人
- 起業支援や企業誘致など経営感覚ある市政運営を重視する人
- 保育料・給食費無償化など、子育て支援の成果を実感している家庭層
- 行政のスピード感や決断力を重視する人
- 長期的な都市ビジョンや副都心開発・新駅整備に期待する人
- 変化よりも、“継続こそ成果につながる”と考える人
- デジタルやAIを活用した参加型市政に関心をもつ層
仲川氏は、16年間で培った実績と即応力を武器に、スピード感のある改革路線の継続を掲げています。
一方で、「説明不足」や「住民との対話の欠如」への批判もあり、“決断力の現職”と“対話型の挑戦者”とのスタンスの違いが、今回の選挙での評価の分かれ目となりそうです。
総じて、都市経営的視点と前向きな成長ビジョンを求める市民にとっては、継続を託す候補といえるでしょう。
以上、奈良市長選2025の候補者・仲川げんの政策まとめでした。各候補者の情報をしっかり比べて、7月20日(日)は忘れずに投票に行きましょう。